INTERVIEW
技術だけじゃない、
現場で身につく人間力。
EPISODE 02
一人前になる決心。
でも、一人じゃない安心。
中学の技術の授業で木工作業に夢中になって、建築をやってみたいと真剣に思いました。でも、成績は下から数えた方が早いくらい。高校受験まで半年しかなくて、死に物狂いで勉強して希望の工業高校に入れたんです。父親が現場の足場職人なんですよ。仕事のことを尋ねたりすると、ちょっとうれしそうで。現場にも連れて行ってもらって、父親が働いている姿をずっと見ていたり。ここぞという時にかんばろうと思えるのは、母親の影響もありますね。「男なら上を目指せ」と、「自分ひとりでちゃんと食べていける人間になりなさい」と、厳しく言われていましたから。
入社のきっかけはインターンです。若手が多くてコミュニケーションがとりやすかったのが好印象でした。建設業界は頭ごなしにいろいろ命令されるのだろうと想像していたのに、和田組の現場はそうじゃなかった。駆け出し時代からお世話になっている師匠がいて、この道40年以上の超ベテランなのですが、「まずは自分でやってみろ」というスタンスで。失敗して考えることも大事で、それで分からなければ、「何でも聞け」と。和田組は未経験でも取り残されるようなことはないし、上下関係なく、若手も積極的に発言するので、会社がやってみようということに全員が前向きに取り組むんですよ。みんなが協力的で、良心や思いやりが自然に機能している感じがします。
先輩たちの大きな背中を
追いかけて、いつか自分も。
やるときはやる、休む時は休むという風にオンオフはありますよ。休憩時間に仲間とおしゃべりしたり、先輩たちにはご飯をおごってもらったり、家族がいるのに家にまであがりこんだり。お礼しようとしても、「俺らに返さんでええから、後輩たちにおごっちゃれ」と言われる。そういう懐の深い、あったかい感じも和田組らしさですね。土日も休みですが、今は遊ぶことより、学びが優先。専門学校に通って、できるだけ早く資格を取りたいんです。学校の費用は会社が立て替えてくれます。給料から天引きされるのですが、資格を取ると報酬金がもらえるので、学費の返済が相殺されて手元にお金が残ります。資金力のない若者には、本当にありがたい制度です。
最近、監督デビューしたんですよ。実は1つ前の現場で、ちょっと天狗になっていて。だいたい全部教わって、図面の見方も分かってきたので、もうひとりで何でもできると思っていました。ところがいざ監督になってみると、新たに覚えなくちゃいけないことが山ほどあって……道はまだ始まったばかりです。師匠の背中は大きい、いつまでも憧れの存在です。でも、本人にはこう言っています。「いつでも引退してええよ、あなたを越えるけんな」と。「なら、やってみろ。失敗しまくるやろうなぁ」って笑われていますが。