INTERVIEW
ドラマの最後まで
添い遂げる誠心誠意。
EPISODE 05
社会を知り、心を読み、
数字を上げる万能選手。
朝の日課は、新聞読みから始まります。国内外の情勢や株価の変動はもちろん、日々のトピックまでひと通り。初対面のお客様とは他愛のない世間話から関係性が生まれますし、建設業界を揺るがす戦禍やコロナ禍による影響もリアルタイムで知っておく必要があります。扱っている案件に、表には出にくい様々な背景があることにも気づくようになりました。50年を経て老朽化した「べっぷ駅市場」のリニューアルプロジェクトを担当しているのですが、街の歴史を塗り替えるような再生事業は、似たようなケースの記事から課題解決のヒントを得ることも。新聞は、私のような若輩者の経験不足を補ってくれる良質な情報源なんです。
営業担当には、それぞれのスタイルがあります。最初は先輩に同行してシビアな大人の世界を垣間見ながら、自分なりに模索してスタイルを確立していくのですが、お客様との距離感の塩梅が難しいところ。ご要望を叶えたい一心で、客観性を見失ってしくじったこともあります。上司たちはそうなることを見越していました。営業マンとして成長させるために、あえて失敗を経験させてくれたんです。人間ですから情に触れることはあります。でもそれは、予算や時間、工数などの数字を注視した上でのエッセンスであって、ビジネスの本流ではない。営業はお客様と現場のパイプ役ですから、良い導き手となるには、様々な選択肢としかるべき根拠を示さなければいけません。信頼性や説得力も経験の積み重ねなので、一つひとつの案件が鍛錬の場と言えます。
人に優しくしなやかに、
自らは強く信念を持って。
和田組はスポーツ活動が盛んで、ゴルフや草野球、フットサルチームもあります。後藤社長はかつて甲子園で活躍した名投手で、地元では知られた存在なんですよ。私も甲子園球児だったので、何か迷いが生じた時は野球に置き換えてみることがあります。打つべき時は今なのか、直球勝負か、耐え忍ぶべきか。メンタル、戦略、情報収集、どれ一つ欠けても勝負には勝てません。とはいえ、パーフェクトな人間もいない。そもそも、メンタルはあまり強い方ではなく、人付き合いも実は苦手です。でも人は皆、多かれ少なかれガードを張って生きているし、誰にも踏み込まれたくないラインがあると思うんです。私もそうだから、超えてはいけない一線が分かるというか……。剛柔のアプローチをうまく使いこなせたら、もうワンランク上を目指せるようになると思うのですが。
がむしゃらに戦っていた学生時代は、自分中心でした。だから不安定だったし、自信を失う度に不安で仕方がなかった。でも今は、相手ありきの自分。どんな状況でも臨機応変にアジャストできる柔軟さを手に入れて、前よりは強くなったと思います。最初から最後までお客様に寄り添うのが、自分スタイル。1話たりともドラマを見逃さない、物語を知っているから、成し遂げた時の感動も大きい。建物をお引き渡しした時のお客様からの「ありがとう」が、原動力です。